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PROFILE
株式会社インターブランドジャパン 代表取締役社長兼CEO 並木 将仁
株式会社インターブランドジャパン 代表取締役社長兼CEO 並木 将仁 マッキンゼーアンドカンパニー、カートサーモンなどの企業を経てインターブランドに参画。戦略コンサルティングファームにて、企業戦略、ブランディング、組織変革などにおけるコンサルティングを中心に、包括的に企業の成長を支援。現在は株式会社インターブランドジャパンの代表として、ブランドを介した企業成長を支援する。特にブランドと経営の融合をトップレベルで実現することによる、日本企業の飛躍的成長に注力。ブランド戦略立案においては、事業戦略実現に向けたブランド効果最大化など多数の実績を持つ。

BRAND LAB. 01 – Interbrand Japan

これからのブランドが存在価値を見出すためにはパーパス(目的)とプリンシプル(理念)が必要不可欠

2020年の世界中を巻き込んだパンデミック以降、常識が変わり、文字通り「ニューノーマル」の時代へと突入した。そんな中「ブランド」とは、何を示す存在になって行くのかを「クロマニヨン」取締役の野中聡がインタビュアーとなり、さまざまな意見を聞くのが「BRAND LAB.」。記念すべき第一回は「インターブランドジャパン」代表の並木将仁氏に話を伺った。

世界から俯瞰する日本ブランドの存在

野中) 世界中に数多くのブランドが存在しますが、その中で日本ブランドはどのような立ち位置にあるのか、また、そこから見える問題点についてお聞かせください。

並木氏) まずグローバルランキングを見ると、2021年10月現在で、ベスト10にランクインしている日本企業は7位の「トヨタ」のみ。ベスト100位にはその他6企業がランクインしていますが、問題はその顔ぶれが長らく変わっていないということです。ここ最近はテック関連ブランドの成長が著しく、10年ほど前はランキングの100ブランドの合計価値の20%弱ほどしか占めていなかったテック関連ブランドも、最近は50%近くまで占めるようになっています。そんな中でも日本ブランドの顔ぶれが変わらないのは寂しく感じますね。

また、GDPでは日本は世界3位にも関わらず、それよりも低いヨーロッパブランドが30以上もランクインしていることを考えると、日本の多くの企業が存在感を世界に発信できていないといえるでしょう。この原因の一つは日本には潤沢な内需があったからと考えられます。人口が1億人を超える日本は、国内需要だけで企業成長が賄える状況が長く続きました。そのため「機能的価値」を高めることを重視し、ブランドの雰囲気や感情を形成する「情緒的価値」に注力していなかったと思います。ヨーロッパのブランドは価格競争や機能的価値を高めることでは日本より不得意でしたが、情緒的価値を高めることでその市場を開拓しました。戦後以降のブランドに対する価値を考えた時、日本とヨーロッパでは全く違った価値観があることがわかります。

人間性に訴求するもの全てブランドでなすべきこととなる

野中) そもそも何をもってして、ブランドとするのか。その定義について並木さんはどのようにお考えですか。

並木氏) 一言でブランドといってもコーポレートレベルなのかプロダクトレベルなのかでブランドの表現は全く異なります。特にコーポレートレベルのブランディングに必要なのは、エシック(倫理)やプリンシプル(理念)です。ブランドを確立する上で、パーパス(目標)である「どこへ向かうのか」というのは考えますが、BLM(Black Lives Matter)以降は特にプリンシプル「何をやらないのか」も定める必要性が高まりました。その上でSDGsやCSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)をどこに位置付けするかも重要な鍵になってきました。きちんとブランドのゴールを定め、その過程でSDGsやCSVがブランドにとってどういう意味があるのかを表現すべきなのです。

では、何をもってブランドとするのかということですが、私としては人間性に訴求するものは、全てブランドでなすべきことだと考えています。つまり、エモーション(情緒)・メンタル(心理)・スピリット(精神)といった人間的な要因に働きかけることがブランドの役割だと。それらに直接訴求するのは難しいので、そのためにどんな機能的価値が必要なのか、そして社会における存在理由を示すためにプリンシプルを定め、どう感じてもらうかを考えていかなければいけません。

ブランドへの要求は表現から体験へ。だからこそローカルの強みが生きる

野中) 機能的価値はもちろん、人の感情に訴える情緒的価値や倫理まで内包することが求められるブランド。では、消費者側はブランドに何を求めているのでしょうか。

並木氏) ブランドへの要求はエクスプレッション(表現)からエクスペリエンス(体験)へと移り変わっています。表現では伝わらないものをどう体験してもらうかがブランドの課題。例えば、どんなに良いことを伝えても気分的にフィットしないと魅力は感じない。パーパスやプリンシプルといったブランドのコアな部分を考えた時、何をもってそのブランド「らしさ」になるかが論点になります。グローバルな展開や多角的な事業を行う企業はそこが不鮮明になりがちですが、ローカルをベースにした企業は活動領域が限られているので、ブランドの「らしさ」が尖りやすいと思います。

また、体験にはそこにある文脈や背景が重要になりますが、ローカルブランドの発信は現地で行うのでより濃い体験が提供できますし、元々知っているというアドバンテージがあります。福岡ブランドをプラットフォームとしてローカルで発信する「サピエンス」も紙媒体として体験を打ち出している。それが面白いと思いますね。

株式会社インターブランドジャパン
1974年のロンドンでの設立以来、40年以上にわたり、常に世界をリードするブランディング専門会社。戦略、クリエイティブ、テクノロジーの組み合わせにより、クライアントのブランドとビジネス双方の成長を促進する支援している。インターブランドジャパンは、ロンドン・ニューヨークに次ぐ第3の拠点として1983年に東京で設立した。
東京都渋谷区広尾5-6-6 広尾プラザ9階
〔 TEL 〕 03-5448-1050
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株式会社 クロマニヨン
020年5月福岡で設立。九州を中心に、ローカル企業の理念構築やブランディングなど、時代の変革期に顕在化する根本的な課題を「ブランドの確立」という面からサポート。「ブランドは意味である」と定義し、経営層だけではなく、社員全員が明確に踏み出せるブランドを共に構築し、企業や事業、商品の意味と価値を結ぶ。
福岡市中央区薬院1丁目16-17 イビサビル4F
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