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福岡大学附属大濠高等学校 バスケットボール部 監督 片峯 聡太
福岡大学附属大濠高等学校 バスケットボール部 監督 片峯 聡太 福岡大学附属大濠高等学校を卒業後、筑波大学で主力を務め、キャプテンとして一部昇格を牽引する。大学卒業後は福岡大附大濠高校に教諭として着任。全国大会優勝候補と目される名門校を率いて「育成」と「強化」の両立を目指し、着任翌年の2010年より母校である同校のバスケットボール部監督に就任した。ウィンターカップ優勝(2021、2024年)やU18日清食品トップリーグ優勝(2024)など、輝かしい記録を残している。

SAPIENS Int. 福岡大学附属大濠高等学校 バスケットボール部 監督: 片峯 聡太

高校バスケ最強チームの監督が語る「普遍の強さ」とは?

2025年12月29日。全国の高校バスケの頂点を決める「ウインターカップ2025」の決勝で、京都「東山高校」を見事破って日本一に輝いた「福岡大学附属大濠高等学校 バスケットボール部”トロージャンズ”」。
同チームのインスタグラムのフォロワーは、高校バスケにも関わらず6万人をこえ、日本で唯一「NIKE ジョーダンブランド」がサポートする、まさに強力なブランド力も併せ持つ「トロージャンズ」。その強さに迫ったこのインタビューは、その日本一に輝いた日の、約3ヶ月前に収録されたものだ。

 

バスケット選手からコーチ、そして監督へ

 福岡屈指のバスケットボール強豪校「福岡大学附属大濠高等学校(以下、大濠高校)」。その監督を14年にわたり務め、同校の名を全国区へと押し上げた立役者が片峯聡太氏だ。監督である前に“教育者”として生徒と向き合うことを信条とする片峯氏が、どのようにして強豪校を築き上げたのか。そして、どんな巡り合わせから監督となったのかを伺った。

「バスケットボールとの出会いは幼稚園の時ですね。父も教員で、もともとはテニス部の顧問をしていたのですが、赴任先の中学校でバスケットボールも担当するようになりました。そんな父と体育館に行った時、初めてバスケットボールを見たんです。それから父がバスケットボールにはまっていくのと同じように、私も好きになって、小学2年生からミニバスを始めました。

中学に入ってもバスケットを続け、新人戦では(福岡)県で3位になりました。そこから“もっと全国で戦える選手になりたい”と思い、当時から県内有数の強豪校だった大濠高校を目指すようになったんです。周りの友人たちは各地から推薦が来ていましたが、私は推薦を受けられなかったので、必死に勉強してなんとか大濠高校に入学できました。当時は“全国大会の場で中学の仲間と戦いたい”という思いでいっぱいでしたね。高校卒業後は筑波大学に進学し、大学でもバスケットを続けました。高校時代は“勝つこと”を第一目標に練習していましたが、大学ではバスケット理論を理解した上でプレーすることが求められるようになった。高校では勝利を目指すこと、大学では論理的な思考を学んだことが、今につながっていると思います。

大学2年の時、高校の恩師・田中國明先生から連絡をいただき、卒業後の進路を尋ねられました。その時は“バスケットボール選手を目指したい”と伝えたのですが、先生は私に『戻ってこい』とおっしゃったんです。ただ、大濠高校といえば当時から名門中の名門。自分では役不足だと思い、一度は保留にしました。それから1年ほど経って、再び田中先生から連絡がありました。その時、先生は私に『お前は嘘をついている』と言ったんです。というのも、私が高校に入った頃、『田中先生を(優勝して)胴上げします!』と宣言していたのですが、それが果たせていなかったんですね。先生からそれを言われて、“ずるいな”と思いつつも、“確かに約束したな”という気持ちもあり、母校の監督になるために教員となりました。1年間は田中先生のサポート的な立場でしたが、2年目には『お前の好きにしろ』と言っていただき、今に至ります」。

 幼少期からバスケット一筋の片峯氏だが、彼はこの競技のどんな点に魅力を感じてきたのだろうか。

「幼い頃からボールを使って何かをするのが好きでしたし、自分一人で何かを極めるよりも、仲間とともにノルマを達成したり課題を解決したりする“チームスポーツ”に魅力を感じていました。もちろん父の影響も少なからずありますね」。

選手の未来を考え、一人の人間として向き合う

 幼少期から現在に至るまで、バスケットボールに人生を捧げてきたように見える片峯氏。しかし、彼は選手ではなく“教育者”としてその道を歩んでいる。現在、彼はどのような視点でバスケットボールチーム「福大大濠トロージャンズ」を運営しているのだろうか。

「高校という教育の場にある以上、バスケットだけをしていればいいということではありません。部員全員がプロ選手になるわけではありませんから、当然、学業にもきちんと取り組む必要があります。大濠高校には県外から来る生徒も多いので、寮生活の様子にも気を配っています。中学生までは“子どもが頑張れる環境”を周囲が整えていましたが、高校からは自分でその環境を作り出す力を身につけなければなりません。そこが教育者として常に難しいと感じる部分です。また、生徒は3年で卒業しますから、1年生の段階から“3年後の成長した姿”をイメージしながら指導することを大切にしています。ただし、未来像を上級生になってから伝えても戸惑うので、下級生のうちからしっかりとコミュニケーションを取ることを心がけています。その中で、自分の課題と向き合い解決することを継続した選手は、3年目に結果を残すことが多いですね。

今のチームにはこの文化が根づいており、それこそが大濠高校の魅力だと思います。チームが強いことや優秀な選手がいることも大切ですが、3年間で人として成長し、その上で次のステージでも活躍できる選手になってほしい。私はそう願っています。この考えの根底には、父の『一人の人間として、あるべき姿を大切にしなさい』という教えがあります。『バスケットだけが上手い人が偉い』という世界はどこにもありません。だからこそ、人として当たり前のことを当たり前にできるようになることが大切。その上でバスケットが上手ければ、より魅力的な人になれる。選手たちには、その順序を勘違いしないように伝えています」。

 また、勝敗に対する価値観についても、片峯氏は独自の視点を持っている。

「私は“価値ある勝利”にこだわっています。それは、選手が主役となり“自分が何をすべきか”を考えて勝つことを意味します。そこに私の希望や名声欲などは一切ありません。それがあると選手にとっての価値ある勝利からはブレてしまうので。彼らが日本一になるために私は何ができるをまず考えます。それはスカウト時もいっしょで私がどう育てるかというアプローチはせず、このチームの環境を活かして、選手自身が成長してくださいと伝えています」。大濠高校に普遍的な強さをもたらした根底には、片峯氏がこだわる勝利の価値にあるのだと確信する。

 さらに発信力のあるチームづくりにも力を入れ、SNSでの情報発信や専用アプリのリリースなどを実践。部活動の枠を超えた社会的な動きは世界からも注目され、ジョーダンブランドがサポートしている。「ジャンプマン」のロゴを配したチームのユニフォームがその証。「チームの試合や活動を通じて明日の活力にしてもらえるような、社会貢献できるチームにしたいと思います」と片峯氏は話してくれた。

 

 そんな彼が14年間、監督として伝え続けている信念とは。

「私が選手に伝えたいのは『志をもって考えたことは、必ず現実化する』ということです。自分の意志を固めて行動し続ければ、その想いは必ず形になる。私自身も大切にしている言葉です」。

 片峯氏が一貫して選手に伝えてきたのは、“自分で考える力”の重要性。それは多感な高校生だからこそ身につけてほしい力であり、同時に、現代のビジネスパーソンにも通じる考え方といえるだろう。

 

片峯氏が率いる「福大大濠トロージャンズ」のチームビジョンは、“バスケットボールでたくさんの人に勇気や感動を与える”ということ。「日本限らず、どのバスケットボールチームよりも勇気や感動を与えたいと考えています」と片峯氏は話した。

インタビューしていて、まるで企業経営のトップと話しているような感覚で質問している自分に気づいた。しっかりとした「理念」を言語化し、それをブラさずに進む片峯氏。一緒に働いてみたい・・・そう思ってしまった私と同じように、選手たちも信じてついていっているのだろう。

 

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