スマートフォンのみで展開する銀行を軸に、お金を介して人やコミュニティがつながる場所を創る
インターネットが高速化し、SNSが情報ツールとなり、個人におけるスマートフォンの保有者割合が6割を超えた(出典:総務省「通信利用動向調査」)今、社会全体の価値観が劇的に変化。さらに2020年のコロナショックはさまざまなルールチェンジやパラダイムシフトを起こし、国家のイノベーションまでも必然となった。
もちろん金融業界も例外なく変革を求められ、従来のサービスだけではユーザーニーズに応えられなくなってくるだろう。その状況にいち早く気づき、国内初のデジタルバンクを立ち上げた、みんなの銀行副頭取の永吉健一氏に、『生き抜く』をテーマに話を伺った。
世の中の変化に先駆けて「みんなの銀行」を設立した
—まず「みんなの銀行」を設立した経緯についてお聞かせください。
永吉健一氏(以降、永吉氏) 例えば携帯電話ですが、2005年ごろから2013年にかけていわゆるガラケーがスマホに変わり、目の前で起きていることをSNSで発信することが一般的になりました。また、2016年に日本に進出したUber Eatsは、たった5年で当たり前の存在になり、「出前」の在り方を大きく変えました。この2つの例を見てもテクノロジーの進化がいかに速いかがよくわかります。さまざまな業界でパラダイムシフトが起きる中で、銀行業界はどうかというと、まだそこまで大きな波はきていません。しかし、巨大な経済圏(エコシステム)を構築するGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)などは、「銀行」という存在に取って代わるポテンシャルを秘めていると考えています。
なぜ前述した企業が「銀行」に取って代わる可能性があるかというと、銀行サービスはお客様の大切な資産を扱うという性質上、高いレベルのセキュリティが求められていることや、紙、ハンコ、人といった業務がベースになってとても厳格に運営されてきたため、何か新しいことをしようとすると、どうしてもスピード感や柔軟性に欠けるといった側面があるからです。一方でお客さまの情報量やリテラシーは日増しに向上し、より高度で多様性のあるサービスが求められるようになってきています。このお客さまのニーズと従来の銀行サービスが乖離している部分に、銀行ではない業界の新しい技術やサービスが入り込んでくるというストーリーです。
この状況に私たちは危機感を持ち、2016年にふくおかフィナンシャルグループの企業内ベンチャーとして「iBankマーケティング」を設立しました。まずは銀行の業務やシステムの制約に捉われずに金融サービスを提供できる場所をつくったんです。銀行の外に出てみて、危機感はより強くなりました。iBankマーケティングを立ち上げたばかりではありましたが、並行して「みんなの銀行」の企画に取り掛かりました。私たちが生き抜くためには業界の変化を先取りし、自らパラダイムシフトを起こすことが必要だと考えたのです。こうした経緯で、2021年5月28日に「みんなの銀行」はサービスを開始しました。
スマートフォンに特化した、片手で操作できるユーザビリティ
—福岡銀行でもスマートフォンアプリを配信されていますが、それとの違いはどういった点でしょうか。
永吉氏 すべてのサービスがスマートフォンだけで完結するという点です。店舗もカードも書類の郵送もありません。24時間365日いつでも利用でき、スマートフォンと本人確認書類さえあれば夜中でも口座開設が可能です。モノクロのシンプルなユーザーインターフェースで、直感的に操作できることも特徴です。煩わしさがない(フリクションレス)ということを徹底しています。イラストを多用しているのも銀行アプリとしては珍しいかもしれません。
SNSのように人と人をつなぐ、価値ある場所を提供
—「お金のSNS、はじまる。」とホームページにありますが、これは具体的にどういう意味なのでしょうか。
永吉氏 みんなの銀行は「みんなに価値あるつながりを。」というミッションを掲げています。そういった意味でSNSに通じる部分があると考えています。例えばeスポーツチームとパートナーシップ契約を結び、ファンがチームを応援できるサービスなど、”つながり“を生む取り組みも始めています。また、送金の際にメッセージを付けることができたり、明細をハッシュタグで管理したりと、SNSを参考に作った機能もあります。
現在、法定通貨(=円)以外のものがお金と同じ役割を果たすようになりつつあります。暗号資産や、さまざまなポイントサービスがそう。個人の能力や実績がデータ化できる未来もやってくるでしょう。将来的には、法定通貨に限らず、そういった「価値あるもの」をデジタルでつなげていけたらと考えています。そのために、常にスピード感をもって大胆なチャレンジを続けていきたいですね。
みんなの銀行とは
スピーディーかつダイレクトに新しい価値を届ける、実店舗をもたない国内初のデジタル銀行
店舗による物理的な制約を受けない“スマホ完結型”の銀行として展開し、ユーザーの声を取り込みながら成長していく「みんなの銀行」は、銀行のさまざまなサービスを全て“ゼロ”から“デジタル”で構築し、ユーザーへスピーディー且つダイレクトにお届けします。
Wallet – ウォレット(普通預金)
「ウォレット」(普通預金)は、財布感覚で「使っていいお金」をここに入れ、キャッシュカード・現金を持ち歩くことなく、支払いから、振込み、ATM入出金まで、いつでもどこでもスマートフォンオンリーで利用することができます。
Box – ボックス(貯蓄預金)
貯蓄預金の中に仮想の「ボックス」を作ることができます。「お金を貯める貯蓄用口座を開設して…」は昔の話。目的に応じてボックスを作った後は、指先ひとつで簡単にお金を仕分けることができます。
Debit Card – デビットカード
みんなの銀行のデビットカードはスマートフォンで使えるからカードレス。利用時に口座からお金が引落とされるのでクレジットカードのように使いすぎず安心です。デビットカードの取引明細はアプリで確認できます。
Record – レコード
レコードは、使ったお金を振り返るサービスです。お持ちの銀行口座・クレジットカード・電子マネーを連携すると、一目で残高や明細が確認可能。また、連携先データの明細にはタグやメモをつけることもできます。
Cover – カバー
みんなの銀行アプリダウンロードカバープレミアムサービスの追加オプションとなるカバーは、急な出費や支払があっても最大5万円まで自動で立替えが可能。残高が1000円しかない時に、5000円のお支払をするとカバーは自動で4000円を立替えます。
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