SAPIENS TALK Vol.9 佐藤 慎介 (NO COFFEE)(4/5) 「時代を読む?読まない?」
時代を読む?読まない?
小柳:そして一番びっくりしたのが、あの「ONE PIECE」とのコラボなんですけど。これは向こうからお話があったんですか?
佐藤:これは東映アニメーションさんから「やりませんか」とお話をいただいて。「ONE PIECE」のロゴをパロディにした感じでやっていいって言われて。でもそんなに売れないかなと思ったんですよ。僕はどっちかというと、海外志向が強くて海外のことを考えて、やろうと思ったんです。海外人気も高いし「ONE PIECE」とやったこと があるって言えることは結構キャッチーだなと思って。それでやりました。
小柳:やってみてどうだったんですか。
佐藤:やっぱり海外からの反応は良かったですね。
小柳: 2020年4月7日にはご存じの通り、コロナの第1回緊急事態宣言が発令されるわけですが。多分この頃も打ち合わせはバンバンされていたんですかね。7月には「CLUBHAUS(クラブハウス)」さんと「NO GOLF」コラボしたり、地元が誇るアパレル「FUJITO」さんや「WIND AND SEA(ウィンダンシー)」さんなど、すごくかっこいいコラボが連発しているわけですよ。
起業して3、4年の時にコロナがきて、佐藤さんの中でこの辺の時期は意識の変化とかあったりしましたか。
佐藤:結構きつかったですね。ここまでずっと走り続けてきたんですけど、立ち止まらなきゃいけなくなったじゃないですか。 実際、緊急事態宣言の時にはうちもお店を1ヶ月閉めたので。でも別に、給付金がもらえるわけでもなく、自力でなんとかしなきゃいけないっていう状況で。
今まであまり振り返ってこなかったので、ちょっと立ち止まって振り返る時間ができたのは良かったのかなって思います。でも、コロナだからと言ってこのままお金を稼がないのも、スタッフを抱えている以上そういうわけにはいかないから。じゃあ、こんな中でどうしたらいいんだろうって考えながらやっていた感じもありますね。
小柳:例えばコロナ中はゴルフとキャンプはやってもいいみたいな雰囲気がありましたよね。佐藤さんはそこを「読みきった」のかなと。
佐藤:これはコロナになる前から話していたんですよ。コロナになってゴルフの需要やゴルフ人口が増えて、ゴルフブランドもすごく増えて。だけどうちはその前からやり始めてたので、そのタイミングもすごく良くて。今は結構淘汰されてきている感じはありますけど、うちの中では生命線というかキラーコンテンツですね。
小柳:最初に「ゴルフやるんだ」っていうイメージは確かにあったんですよね。実はコラボされていた珍奇植物も、コロナの間に増えた僕の趣味の一つで。これもコロナの前からされているから、読みきっているわけじゃないですよね。でも、なんかもってますよね。
佐藤:読んでるようで読んでないことが結構あるんですよね(笑)。
小柳:他にも色々コラボされながら、出版社「宝島社」からブランドブックも出されたんですね。タンブラーやトートバッグが付いていたようですが、これは全国の書店に並んだんですか。
佐藤:そうですね、書店と一部コンビニでも売っていただいて。さっきの「GLOBAL WORK」さんの話と近いところがあるんですけど、これも賛否両論ありまして。 でも、なかなかこんなのできないし、作ることに関してはノーリスクで、むしろお金をもらえるぐらいで。コンビニとかいろんなところで置かれるってこともなかなかないので「やらない手はないよな」と思ってやりましたね。
小柳:認知度を上げるには最強ですよね!海外のブランドと初コラボだったのがこの韓国のブランドだと思うんですが。
佐藤:そうですね、これもコロナの時に始めたんですけど、うちは元々インバウンドも多かったんですよ。特に韓国のお客さんがすごく多くて。でもコロナで全くインバウンドのお客さんが来れなくなった状態で、 韓国へ向けてのプロモーションがしたいなと思ったんです。
だけど雑誌に出稿したりしてもしょうがないし。分かりやすいのは向こうで人気のあるブランドと何かやる方が、 今まで知ってた人に思い出してもらったり、今まで知らなかった人たちにも知ってもらえて、コロナが明けたら来てもらえたらいいなって思って。 これはうちのお店と韓国の「thisisneverthat(ディスイズネバーザット) 」というお店に置いてもらいました。僕が全部こっちで作って輸出したので、まぁまぁ大変でしたけど。
小柳:けど読み通りというか、今韓国の方が街中にいっぱいいらっしゃいますよね。やっぱりお店にいらっしゃるんですか。
佐藤:だいぶっていうか、もうほぼ戻ってきた感じはありますね。
小柳:そうですか。割合的にも韓国のお客さんは多いんですか。聖地に来たっていう感じなんですかね。
佐藤:めちゃくちゃ多いですね。聖地かどうか、どういうテンションで来てるかは分からないですけど。
小柳:お土産代わりに買って帰る感じなんですか?
佐藤:それこそコロナ前に来てた時は、韓国の人ってあまり物を買わないイメージだったんですけど、コロナ明けは円安の影響なのか分からないですけど、物を買うようになったんですよ。客単価は一気に上がるので、それは結構大きな変化ですね。
小柳:天下の「HONDA(ホンダ)」さんともコラボされていますよね。こんなの頼んでやってもらえる世界じゃないって思うんですが…
佐藤:「HONDA(ホンダ)」さんは多分僕がやった中で会社の規模的には一番大きいですね。
「やりませんか」とお話を頂いた時に、いいんですけどあまりイメージがつかなくて。冗談半分で「NO HONDAってやれるんだったらやりましょう」って言ったらまさかのオッケーで(笑)。
小柳:「NO DOG」シリーズは絶対クロムちゃん(愛犬)のためにやっているでしょう(笑)
佐藤:そうですね。僕が犬を飼い始めてから始めました。基本的に自分がやっているっていうことが大前提で。キャンプも流行っているのは分かっているけど、やっていないのは僕がやらないからなんですよね。あんまり説得力ないかなと思って。犬は飼うまで全然好きじゃなかったんですよね。舐められるのも嫌だったぐらいですけど、もう大好きです。いなくなった時のことを考えるだけで、ちょっと涙が出ますね。
小柳:そんなにですか!そういう背景から生まれた「NO DOG」!自分が犬を飼う機会があったら、絶対使います:笑。あと、僕が「NO ~」シリーズで一番インパクトがあったのは「NO AGODASHI」ですね。
佐藤:これも僕は最初やるつもりはなかったんですけど「味の兵四郎」さんの担当の人がめちゃくちゃ熱くて。最初からすっごい企画書が作られていて、そこに「NO AGODASHI」って入ってたんですよ。絶対自分じゃ「NO AGODASHI」なんてやらないじゃないですか。一回も思いついたこともないし、でもそれは熱意と「ちょっと面白いな」っていうのに負けたっていうか。でも本当に面白かったですね!
小柳:7、8年、ひたすらこうしてコラボレーションをやってきたから到達できるところかもしれませんね。
>その5(最終回)へつづく