SAPIENS TALK Vol.9 佐藤 慎介 (NO COFFEE)(2/5) 「NO COFFEEの始まり」
「NO COFFEE」の始まり
小柳:なるほど。会社員を13年やって起業しようと思った時に、Instagramを活かして自分が今までやってきたコラボの世界を引っ付けたらどうかと起業を考えられたということですね。そして「NO COFFEE」を福岡の平尾に作られたわけですけど、オープンは2015年12月ですよね。
佐藤:そうです。今は8年目ですね。
小柳:もう、そんなに経つんですね!お店が出来た時に「あの角に小さなカフェが出来たんだな」って思ったことを鮮明に覚えています。
ちょっとベタな質問をするんですけど「NO COFFEE」の名前の由来はなんですか?
佐藤:「NO COFFEE NO LIFE」の「NO COFFEE」なんですけど、コーヒーだけじゃなく色々やっていこうと思っていたので「コーヒーだけじゃないよ」って意味を込めてですかね。
お恥ずかしい話ですけど、アメブロ全盛期の時に「NO COFFEE NO LIFE」ってブログをやっていたんですよ。
小柳:アメブロみんなやってましたね!
佐藤:Instagramができる前ですよね。だから「NO COFFEE NO LIFE」っていうワードが、結構自分の中にずっとあって。それが使いたいなと思ったんですけど「NO COFFEE NO LIFE」ってお店はちょっと恥ずかしくて。
だから「NO COFFEE」ってなんかいいなと思って。一見否定してる可能性もあるし「それってなんなんですか」って質問されたりとかもある。自分の中でそういうストーリーがあったんです。名前としても短縮はされないし。「ノーコー」とか略したりしないじゃないですか。だから、それもいいなと思ったんですよね。
小柳:頭に残っていたワードをお店の名前に使うっていうのは、 なんかいいですよね。無理やり難しい名前を考えたりしようとは思わなかったってことですよね。
佐藤:わりと自分の中では、すっと決まった感じですね。
小柳:多分マーケティングもされたと思うんですけど、大名・薬院・今泉とか若者がいっぱい歩いているエリアもたくさんあるのに、なぜ平尾のちょっと外れた場所にお店をオープンされたんですか。
佐藤:僕も正直、土地勘がなかったんですよ。うちの奥さんが福岡だったので、結婚してから福岡には来ていて「いい町だな」と思って、すごく好きで。実際移住してきてから場所を探し始めたんですけど、天神とか大名とか中心地ではやりたくなかったんですよね。目的を持って来てもらえるようなお店にしたかったので。
・・・とは言え、あまり遠すぎても良くないし、天神中心で考えて徒歩圏内のエリアかなと。別に平尾が良かったわけじゃなくて、ぐるっと探していたんですよ。で、たまたま僕が自転車で色々回っていて、今の物件を見つけて。
もう、めちゃくちゃ暗かったんですよ。今、うちのお店の入り口のところって元々壁だったので、真っ暗だったんですけど。僕が入る前1年空いていたのも前に借りていた人が夜逃げしていて。いわゆる曰く付きの物件だったんです。「ここの物件で上手くやれた人がいない」ってまで言われて。
小柳:よくありますよね、そういう物件。けど、カフェを作るってなったら、最初はものすごく不安だから人通りがあるところを選んじゃいそうじゃないですか。それでもここを選んだのは自信があったとか、そういう感じですか。
佐藤:根拠のない自信はあったかもしれないですね。お店始めるって、多分そうじゃないとやれないですよね。 根拠はないですけど、根拠はあるっていうか、難しいところなんですけど。自分の今までの経験だったり、その時考えていたことがちゃんと形になったら、ある程度上手くいくだろうなって自信もあったし。それが上手くハマっていった感じですね。
佐藤:結局僕は東京からの移住組なので、東京感を出しすぎると福岡の人は嫌がると。だからあんまり出しすぎない方がいいっていうことを言われて「あ、なるほどな」って最初は思ったんですよ。でも、ちょっと考えたら何が「東京感」か、僕には分からなくて。だからもう、それを気にしないことにしました。
小柳:「東京感」ってなんなんですかね。
佐藤:いや、分からないんですよ。でも、福岡って、いわゆる東京にあるようなチェーン店って少ないじゃないですか。 言わんとしてることは分かるんです。でも「福岡に寄せる」っていう言い方が正しいか分からないですけど、「これが福岡なのかな」とか思い始めたら、多分自分じゃなくなるし。自分が本当にやりたいこととは違うので、それで失敗した時が嫌だなと思って。だったら、自分のやりたいことを貫き通して、失敗する方がまだいいなって思って。
小柳:そういった理由で平尾を選ばれたんですね。で、2015年12月オープン後、最初に何とコラボレーションしたかみなさんご存知ですか?なんと「ミッキー」ですよ!!「ミッキー」とコラボできるのって、大企業じゃないと出来ないんじゃないですか。
佐藤:そんなことはないと思いますけど(笑)。僕、お店を始める時にお金が全然なかったんですよ。融資を受けないとお店を始められなかったんです。それを許した奥さんはすごいなと思うんですけど。お金が全くないままこっちに移住してきて。飲食経験がない中で、融資を降りさせないといけないという状況で、事業計画書などを作っていたんです。結局、政策金融公庫とか保証協会とか、お金を借りるにあたって相手する方ってこういうカルチャーを知らないし、僕が前に何をやっていたとかも関係なくて。だから、その人たちに分かりやすいアイテムを最初から仕込もうと思って、融資が降りる前から決めていたんですよ。
僕、わりと話はできる方なので、「こういうのもあります」と「ミッキー」のアイテムを出して「オリジナルで書いてもらったんですよ」みたいな話をしたら、案の定食いついて「なんでこんなことができるんですか」みたいになって、まるっと融資をいただきましたね。
小柳:すごい!「ミッキー」のおかげじゃないですか。でも、なんでこんなことができるんですか。「ミッキー」と友達ですか?(笑)
佐藤:それこそ、これをやった先輩がずっとミッキーをオリジナルでやっていて。その先輩とはもう20年ぐらいの付き合いなんですけど、協力してくれて。
小柳:人脈ですね。これで融資が降りて、オープンしたわけですね。そして、オープンして 半年で「岩田屋」さんの定番コレクションに選ばれたんですよね。半年で「定番」になるってすごいですよね。
佐藤:そうですね。よく分からないですけど。オープンしてすぐか、オープン前か詳しくは覚えていないですけど、その頃に岩田屋さんから話をもらって。ここから「岩田屋」さんと繋がった感じですかね。
小柳:岩田屋さんも結構アンテナを張られていますよね。この時点で佐藤さんのことを知って、声を掛けてこられたってことですもんね。
>その3へつづく