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SAPIENS TALK Vol.06 松尾 大(1/4)〜TTNE とは何か?

 

ブランディングカンパニー「クロマニヨン」が主催するトークライブ「SAPIENS TALK」。

時代を生き抜く「SAPIENS(知性ある者)」たちに、直接問いかけるリアルなトークライブ。コロナ禍でますます世界を狭めてしまいがちな今こそ、ダイレクトな言葉を通して多くの人に刺激ときっかけを発信したいと思っています。よろしくお願いします。第6回目は「ととのえ親方」の愛称で日本のサウナカルチャーを変革し、牽引する松尾大氏をお呼びしました。

自分の好きなことを貫いている時に何を考えていたのか、自分自身をブランドにする方法や、果ては本当のサウナの入り方に迫りました。

 

ゲスト:松尾 大(ととのえ親方/TTNE)
モデレーター:小柳俊郎(株式会社クロマニヨン 代表取締役/CEO)

小柳:皆さんこんにちは。今回が6回目になる「SAPIENS TALK」ですが、こういった肩書きの方を紹介するのは初めてです。5年前にはなかったサウナカルチャーを作り上げられました「ととのえ親方」こと松尾大さん(以下:大ちゃん)です!

松尾:こんにちは!

小柳;今日はいつも通り大ちゃんって呼ばせてもらいますけど、僕がなぜ「大ちゃん」って呼んでるかというと、最初僕は「親方」って紹介されていなかったんですよね。2016年9月5日に仕事で函館の「世界料理学会」に参加した帰りに「夜ご飯を食べよう」と集まったんですが、その時初対面の同席だったんです。

松尾:懐かしいですね!

小柳:そこで「松尾君という人を紹介したい」と言われて。この頃はまだそんなにサウナの活動もされてなかったですもんね。

松尾:そうですね。2016年ですと、まだブランド立ち上げ前なので。

小柳:ちょうど始まるぐらいですよね!当時、初対面ながら一緒にご飯を食べていたらサウナの話で盛り上がって。僕もサウナは入っていましたけど、一回入って「暑か〜」となったらお湯に浸かってそのまま出る感じでしたが、それを話したら大ちゃんから「それじゃダメだ」って言われて。もう夜中の12時半ですごく酔っぱらっているのに、翌朝6時半に集合させられてサウナに連れて行かれたのが始まりでした(笑)

松尾:函館の七重浜ってところにあるスーパー銭湯に行きましたね!

小柳:僕、水風呂が怖くて。母親から言われてましたもん。「急にあんな水ん中に入ったらいかん」って(笑)でも、それを覆してもらったのが2016年9月6日の朝10時前ぐらいでしたね。この写真、懐かし〜な〜。若い(笑)。

そこからどんどん大きくなってサウナがカルチャーになっていきましたもんね。
札幌にお住まいですがお会いする度にその過程を聞いていて、僕もめちゃくちゃ面白いなと思っていました。

記憶に新しいところでは、2021年の9月に仕事で疲れて六本木のホテルでサウナに入っていたら、なんと深夜に大ちゃんとサウナでばったり会ったんですよ。その時に「僕(ととのえ親方)と二人でサウナとか、ボン・ジョヴィと二人でカラオケ行くのと同じですよ!」って言われて、大爆笑したの覚えてます。

そのぐらいの関係でずっときたんですけど、僕は、この場が持てたことが本当に嬉しくて。自分ばっかり聞いているこの楽しい話を、一人でも多くの人に聞いてほしいと思ってこの場を設けさせていただきました。改めて今日はよろしくお願いします!

松尾:よろしくお願いします!

◆TTNE とは何か?

小柳:まず1つ目のテーマ「TTNE」についてお聞きしていきたいんですが、今一体いくつサウナを作られているんですか?

松尾:公表できないやつもあるんですけど、部屋数で言うとプロデュースしてるのは100は超えていますね。

小柳:50〜60箇所ぐらいやってるんですかね。

松尾:やってるかもしれないですね。

小柳:最近凄いなと思ったのが、知床のサウナなんですけど、あの外の景色は合成じゃないですよね?


(北こぶし知床リゾート:TTNE  HP より)

松尾:合成じゃないですね(笑)。本物の流氷が見られるサウナなので!

小柳:他にも色々ありますよね、鎌倉のサウナには僕も行ったことがあるんですけど。

松尾:「ZEN VAGUE」ですね!「バレルサウナ」っていう半球体みたいなサウナを作ったんです。宇宙船みたいで当時可愛いかったんですよね。今はいくらでもあるんですけど昔はそんなになかったので。


(ZEN SAUNA 鎌倉:TTNE  HP より)

小柳:あと鎌倉に仕事で行くといつも泊まりたいと思うのが、茅ヶ崎の「8HOTEL」なんですよね。

松尾:「8HOTEL」は何がいいって、水着の女性がたくさんいることです(笑)。プールサイドにサウナがあるところって、あんまりないんですよね。


(HOTEL 8 CHIGASAKI : TTNE  HP より)

小柳:そのまま上がってバッと水を被って入れるんですね。

松尾:そうそうそう!ホテルに特色をつけたいということで相談をもらったんですけど「サウナを作れば冬もプールが稼動しますよ」って。

小柳:あと山形の「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE」のサウナにも行ってみたいですね。


(SUIDEN TERRACE : HPより)

松尾:ここは坂茂(ばんしげる)さんっていう世界的な建築設計チームと一緒に作りました。

小柳:サウナと建築が融合してきたというのも、昔にはなかったことですよね。

松尾:サウナと建築とか、サウナとインテリアデザインとか、昔はなかったですね。世界的に見てもないんですよ。だからそういうのをやったら絶対面白いなって思って。
例えば今だと隈研吾事務所さん、坂茂事務所さん、谷尻誠さんとやったりだとか。いろんなインテリアデザイナーの方たちをいれていくと、結構面白いことを言われるんですよ。「これってこうじゃないといけないんですか」と僕も思っているようなことを言ってくださるので、そこを楽しんで変えていく形でやっています。

小柳:だから見たことがないサウナがどんどん出てくるんですね!

松尾:昔ってサウナ室の中だけは全部同じだったんですよね。特徴がなかった。

小柳:なるほど。また違うサウナの話に戻るんですけど、これも出来た時に「きたな」と思ったんですよね。ソロサウナ!

松尾:新宿の「tune」ですね。


(SAUNA tune : TTNE HPより)

小柳:絶対くるなって、誰か作るんじゃないかと思っていたんですよ、あの電話ボックスみたいなやつを。

松尾:これは相方の(秋山)大輔が監修したんですけど。ニューヨークとかに行くと、一人・二人用のサウナって結構あるんです。部屋の一室を改造してやっているサウナが結構あって。日本もこういうのが出てくるだろうなと思ってたんですけど、このサウナは出来た時にスケール(メジャー)を持った競合調査のような雰囲気の工務店のおじさんたちがいっぱい来ました(笑)。入りながら計測して「あ、こういうのだったらうちでも出来るかもしれない」みたいな。
サウナって普通に大きくやると、だいたい10億とか20億円ぐらいかかるんですよ。でもこれだと下手したら何千万円とかで済むかもしれないので。

小柳:僕が高校生ぐらいの時ってカラオケが本気で流行り始めて。結局カラオケボックスが出来て「ソロカラ」が流行りだしたじゃないですか。「それと一緒やん」って思いましたね(笑)。やっぱり利用者は多いんですか?

松尾:多いですね、ここからプライベートサウナというのがどんどん広がっていったので。「ソロサウナ」という言葉は「tune」さんが商標を取っているんですよ。昔はそんな言葉も無かったですけどね。

小柳:他にもたくさんありますが、以前スカイツリーでイベントなんかもされていましたよね。

松尾:ドラマ「サ道」の『SKYTREE SAUNA』ですね。


(TTNE: HP より)

小柳:これは「スカイツリーを見ながら整ったらめっちゃいいやん」と思ってやったんですか?

松尾:そうです!ここは面白かったですね。本当に目の前がスカイツリーなので。今では「ととのい方」みたいなのが言われているんですけど、その時はまだ「ととのう景色がスカイツリーだったら面白いよね」とか言えてたんですよ。今はそんなのいっぱいあるんですけど当時は「スカイツリー見ながらととのいたいな」とかいう人がいなかったので。

小柳:プロデュースもたくさんされていますけど、どちらかというとこちらの方が最初なんじゃないかなって思うのは「プロダクト」の方ですよね。
僕も今日パーカーぐらい買って来てこようかなと思ってずっと見てたんですけど、色々ありますね!しかも全て「Sold Out」でした。シャンプーしか買えなくて。

松尾:これもね、シャンプー(Shampoo)じゃなくて「サンプー(Sampoo)」なんですよね(笑)。

小柳:hがない!面白いですね。
でもすごい売れているんだ、みんな欲しいんだなって思いましたね。

あと、これは知らなかったんですけどエージェント業務もやっているんですね。お二人(松尾さん、秋山さん)は有名ですけど、「サタレ」っていうサウナモデル、サウナグラビア、サウナ女優がいらっしゃるんですね!

松尾:「こういうPRしたいんです」って依頼がきた時に「君やってよ」ってお願いするエージェント業務って、アサインするのも大変なんですよね。だったらもうこっちで受けてやっちゃえばってなったみたいで。

小柳:メディアにもよく出ていますよね。

松尾:園都ちゃんとか菅野結以ちゃんとかですね。

小柳:調べたらタレントだけでなく、他にももっといて。「サウナMC」に「サウナビデオグラファー」「サウナDJ」って!

 

松尾:あはは(笑)「サウナビデオグラファー」のSHOGOなんかは一日2000万ぐらいのギャラの海外のモデルを撮っていますからね。他にも「サウナドクター」とか色々いますけど、何でも「サウナ」を付けたいだけっていう(笑)。

小柳:そして皆さん注目の「サウナシュラン」ですけど、これはびっくりしましたね。星を付けるんじゃなくて順位を付けるじゃないですか。

松尾:「サウナシュラン」って最初は洒落でやっていたんですよ。「どこのサウナが好きなんですか?」「親方の一位ってどこですか」「秋山大輔の一位ってどこですか」って、毎回聞かれるからうざったくなっちゃって(笑)。だったら、僕ら的なランキングを作ったら面白いし、いちいち聞かれなくていいかもなぁって。あともう一つは、その頃はサウナ施設が表彰されていなかったんですよね。

小柳:なるほど。

松尾:最初「サウナシュラン 三ツ星」とか星を付ける形でやろうとしていたんですけど、直さん(本田直之さん)から「ランキングにした方が面白いぞ」って言われて。「一位のとこ行った?二位のとこ行った?とかなるんだからベスト50みたいな感じでやった方がすっきりしてて面白い。そっちの方がニュースになるし」って言われてやったんです。そしたら大炎上して(笑)
サウナシュランに関して言うと、毎年大炎上してますね。でもこれはしょうがないというか…

小柳:「(この順位は)違うと思う」みたいな炎上の仕方をするんですか。

松尾:そうですね。でも最初ってホームページを作って、自分が好きだった施設に勝手に賞状を送りつけるだけだったんですよ。それが「サウナシュラン」なんて名前にしちゃったから権威っぽくなっちゃってるのもあるんですけど、権威でも何でもなくて勝手にやってただけなんです。

プロサウナーなど有識者たちが「ここは今年すごかったよね。賞をあげた方がいいぐらいサウナ界に貢献してるよね」っていうところに対して、ただ賞を送っていただけだから。だから別に「サウナシュラン」なんて何でもないんですよ。

小柳:TTNEは税金で作られた公的機関でもないですしね(笑)。

松尾:そうなんです。これをやるだけで僕ら300万円ぐらい出費していますから。何の利益もないのに批判されて「何なんだろうこれ」「今年こそ辞めたい」っていつも思ってます(笑)。

小柳:ちなみに一番我々に近い佐賀の「御船山楽園ホテル」は殿堂入りしたんですよね!

松尾:武雄のね!社長の小原さんは「やっと肩の荷が下りた」「ずっと革新してきたけど、一旦ちょっと休憩したい」って言われてました(笑)。

本当にただ僕らが勝手にやっていただけなんですけど、それがだんだん「日経新聞」とかに載り出して。広告換算でいくと初年度だけでも3.5億ぐらい載りましたね。

小柳:これはいい戦略だなと思いましたね。300万円出ていくだけかもしれないですけど…

松尾:サウナ文化にとっては向上したかもしれないですね。

小柳:あともう一つ。大ちゃんは「日本サウナ学会」の言い出しっぺでもあるんですよね!

松尾:本当にこの学歴がない僕がね(笑)。

小柳:なんで作ろうと思ったんですか?

松尾:相撲取りの人とかが倒れたりすると、なんかサウナのせいにされていたんです。でも水を飲まなかったり、ちょっと食べ過ぎてたりっていうこともあるかもしれないじゃないですか。だけど、いつも「サウナは体に良くない」みたいに言われていて。だから「エビデンスを取らないとダメだな」って思って。科学的に健康にいいかどうか、僕らも気になっていたんです。身体では分かっているんだけど、医学的なエビデンスってどうなんだろうって。医者も「心臓に悪いんじゃないか」みたいな顔してるんですよね。だからちゃんと体験させないとダメだなって。

あの時、温泉の事を喋れる医者はいたんですけどサウナの事を喋れる医者っていなかったんです。だから知り合った医者を全員をサウナに連れて行って、どういうことが体に起こっているんだっていうのを言語化させていました。「温泉医学療法士」みたいな方はいるけど「サウナで健康にさせられる」っていうことを言える人間が欲しいというところから作ったというのが「日本サウナ学会」なんです。

小柳:知り合いの塩谷さんっていう医者の方も論文を出されたんですよね?

松尾:海外にはサウナの論文はいっぱいあるんです。サウナに週一回、二回、三回、四回入る人だとどう健康状態に変化があるんだっていうのは出ていたんですけど、サウナの入り方まで追求している論文はなかったので。だからサウナ→水風呂→休憩を3セット繰り返した後に全員病院に連れて行って脳波を測らせることをやっていたんです(笑)。そしたらやっぱりちゃんと結果が出たんですね。脳内の「幸せホルモン」と言われるものが出ていたり、身体と脳のギャップなど。「サウナ学会」を作ったことによって、全部分かってきたんですよ。

小柳:結論「サウナは体にいい」って信じちゃっていいんですか?

松尾:いいです!だって心筋梗塞は55%、認知症は確か65%ぐらい。精神疾患なんかに関しては78%ぐらいリスクが減るんですよ。

小柳:サウナにたくさん入っている人はまともな精神状態になるんですね。

松尾:結局身体にいいんですよね。自信持って入っていただいて大丈夫です!

小柳:こうして見ていると、たった6年の間にいろんなものを作られていますね。
「サウナのために汗をかく人」を募るサウナーコミュニティなんかも。2018年には渋谷のTRUNKホテルでおしゃれなクローズドイベントも開催されていましたよね。もう完全にこの辺からサウナがカルチャーになってきてるなと感じました。

>>その2はこちら

>>その3はこちら

>>その4はこちら

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