SAPIENS TALK Vol.06 松尾 大(4/4)新しいムーブメントを起こすために大切なこと
◆新しいムーブメントを起こすために大切なこと
小柳:ここから新しいムーブメントを起こすために大切なことを聞いていきたいんですが、何が違ったんですかね。「サウナって若者にもいいじゃん」と思う人が一人ぐらいは居たかもしれないじゃないですか。でも実際にそれをやろうと思ったのはマインドなのか、人格なのか、やり方だったのか。何が良かったんですかね。
松尾:何が良かったんだろうな。でもみんなサウナって知っていたじゃないですか。入ったことがない人はほとんどいなくて。やっぱり「こういうことをやってますよ」っていうキーヴィジュアルを打ち出したことですかね。当時サウナに入る方はtwitter層の人たちが多かったんですけど、それをInstagramを使って打ち出したのが良かったのかなと。
今のサウナカルチャーはタナカカツキさんと濡れ頭巾ちゃんって人がいないとなかったんですけど、僕らってその後の世代なんです。そのタナカカツキさんの漫画「サ道」が2014年ぐらいから雑誌「週刊モーニング」に掲載されているんですけど、大体あの雑誌は50代ぐらいの方が買っていて、ジェネレーションが違っていて。
30代・40代の僕らは僕らなりにやれることがあって、それがやっぱり「キーヴィジュアル」を打ち出すことだったと思うんですよ。例えばサウナに入った後に美味しいお寿司を食べに行くとか。最近だと寿司屋に行ったら大体「サウナに入ってから来ました」みたいな人も多いけど。「美味しいものを食べる前には、僕らは絶対サウナに行くんだ」とか「3000万円以上がかかったプレゼンがある時には絶対にサウナ入ってからじゃないと行かない」とか。今まで「サウナとおじさん」だったのが「サウナとヤングエグゼクティブ」みたいなところとくっ付けることでイメージを変えたりして。
ナオさん(本田直之さん)と「人生を変えるサウナ術 なぜ、一流の経営者はサウナに行くのか?」という本を書いたんですけど、ヤフーの川邊さん(取締役 川邊 健太郎氏)に本の帯を書いてもらうことで「経営者は今サウナに行っているんだよ」という今までのイメージと違う見せ方をしていったんですよね。
小柳:なるほど。組み合わせとヴィジュアルなんですかね。
松尾:ヴィジュアルは絶対大事ですよね!
小柳:時代の変化やチャンスはどうやって見ている感じですか?「きたな」と思った時もあるんですか。
松尾:ラジオや雑誌、テレビなど月に何本も「出てください」ってオファーがきて。海外から帰ってくると雑誌社さんが「取材させてください」と空港で待っていてくれたこともあって。そういう時は「きてるな」って感じたこともありましたね。雑誌「anan」にサウナが出た時はサウナ界がどよめいていましたね。「ananがサウナの特集をしてくれた!!」って。
あとは、Youtuber達もサウナのことをやりだしたんですけど、それによっても変わりましたね。「コムドット」のやまとは今では登録者400万人いて、当時10万人ぐらいだった時にInstagramに「サウナに連れて行ってください」っていう熱いダイレクトメッセージをくれたんです。で、サウナに連れて行ったんですけど、彼らがやると400万人に観られるんですよ。僕が本を書いても3万部ぐらいしか売れないのに、それだけ多くの人にすぐ届いちゃうからすごいなぁって。そういう若者達や憧れられている人たちをサウナを伝えていったのはありますね。
小柳:僕も完全に流されたもんなぁ。すごく気持ちが分かります(笑)。僕思うんですけど、サウナって勝ち負けがないじゃないですか。ちょっと水風呂に入る勇気とかはいるんですけど、上手い下手がなくて。
松尾:「プロサウナー」って言ったって、ただ座って汗かいているおじさんですからね。歌って踊ってる訳じゃなくて何にもしていないんだもん。ただ座ってだらだら汗かいて、何が「プロサウナー」だって思うんだけど(笑)。でもそれが今の時代にマッチしてたのかもしれないですね。
小柳:確かにストレスも多いし、健康志向とかもあってはまったのかもしれないですね。
大ちゃんの考える「サウナの根源的な良さ」って何ですか。
松尾:人間から動物に戻れることだと思います。「モラル」とか「人間としてこうじゃなきゃいけない」とか縛りがある中で、サウナはいきなり裸になりますよね。僕、サウナストーブの前におじさんたちが並んでる画を見ると裸で原始人が焚き火してるみたいな感じに見えるんですよ(笑)。100%を120%にしているんじゃなくて、0にしている感じで。ドライブとかバッグとかに入ってるギアがニュートラルに入って動かない、みたいな。そうやって動物になっている感じがすごくいいんですよね。
小柳:ゴルフに行くと「あの人お金持ちそう」とか「すごい時計はめとんしゃぁ」とかありますもんね。
松尾:でもサウナに行ったら裸だし、かっこつけてもしょうがないじゃないですか(笑)。たまにロレックスの腕時計とか金のネックレスをつけて入っている人もいますけど、かっこつけれないし。かっこいいも悪いもないですよね。まあ体だけは嫉妬しちゃうぐらいバキバキでかっこいい人はいますけど。でもそれも動物的に「こいつ努力してんな」っていう感じで見ちゃいます。
小柳:そうやってサウナが時代に合ったというのは、大ちゃんが気付いたり、気付かせたりした部分がありますよね。これからのサウナについては「どうなって欲しい」とか「どうなっていくかな」とか考えたりしますか。
松尾:結構言ってるんですけどサウナはウォシュレットみたいなものだと思うんですよね。
小柳:ウォシュレット?(笑)
松尾:出てきた頃は騒がれたじゃないですか。昔って家に風呂とかシャワーとかなかったですよね。
小柳:お風呂は共同浴場に行って入っていましたもんね。
松尾:僕が小学校の頃は月水金とか一週間に三回ぐらい入る感じだったけど、今は普通に毎日入るようになっていますよね。お風呂やシャワーがない状態から各家庭に入ってきて、トイレだって和式が洋式になってウォシュレットがついて。絶対サウナも家庭に入ってくると思うんですよね。フィンランドだったら洗濯機の上のデッドスペースにサウナがあったりしますから。
小柳:洗濯機の上に乗ってるの?
松尾:乗ってるというか、空いたスペースに作っていますね。洗濯が終わった後にそこに干したりして、洗濯乾燥機みたいなものとして使ったりもしているんですよ。今だと日本ではすごく高いけど、もっとリーズナブルになって「それだったらつけとこうかな」となるぐらい、もっと家庭に入ってくると僕は思っています。
小柳:バレルサウナが出た時はすごいなって思いましたもんね。「仲間内で買えるかも」とか思ったりして。
松尾:あれだと100万円とか200万円ぐらいでまだ高いですけど、もっと安くなると思います。ウォシュレットみたいに当たり前になって家にサウナが出来たことを誰も騒がなくなる、そんな感じになるのが僕にとってのゴールかなって。
小柳:そしたらみんなが健康になって精神的にも安定して、いいことばっかりですね。視力も良くなるしね(笑)!
松尾:まぁ僕は一向に目は良くならないんですけどね。ずっとメガネなんで(笑)
小柳:いろいろ聞きましたけど、本当にサウナ愛に溢れていますね。今日は本当にありがとうございました!
松尾:こちらこそ、ありがとうございました!!
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終わり